【全国少年少女選手権・特集】6年最後の夏に初めての全国チャンピオンに!…6年男子55kg級、井上輪太郎(タイガーキッズ)(H29.07.23)
(写真/日本レスリング協会の取材を受けた井上選手と坂口監督)
「1年生のときからずっと出ていて、6年生で優勝できてよかった」―。第34回全国少年少女選手権大会6年生男子55kg級は井上輪太郎(Tiger Kids)がラストチャンスをものにした。決勝戦は有馬毅留(T.K.D)に、がぶり返しやローリングを何度も決めて快勝。6度目の挑戦で初めての金メダルを獲得した。
これまでの実績は3位が最高成績と準決勝の壁を破れずにいた。井上は「苦手な選手が2人いて、いつもその選手に負けてしまって3位どまりだった」と振り返る。今回はその2選手がともに別の階級にエントリーしたことで「優勝するチャンスがやってきた」と気合をいれて臨んだそうだ。
井上の優勝は単純に強い選手がいなかったからと片付けられないストーリーがあった。坂口秀春監督は「今まで3番の成績は何度もありましたが、チャンピオンクラスの選手とは、とても差があって何もさせてもらえずに負けていたんです」。その惨敗に井上自身がレスリングを辞めてしまうと心配する声も上がったほどだ。けれども坂口監督は、「おとなしくて不器用なんだけど、諦めずにコツコツやるところがある選手。その結果がようやく実った。伸び悩んでいる子供のいいお手本となりました」と“ウサギとカメ”のカメのように最後に栄冠を手にした井上を称えた。
井上が強くなる布石となったのが3月の全国少年少女選抜選手権だった。いつも大敗していた菅野煌大(ドン.キホーテ)に決勝で勝って優勝。坂口監督は「あの菅野選手に勝ったと聞いてとても驚きました。そうやって地力を少しずつ伸ばしていったことで自信もついて、今回の優勝に繋がった」と振り返った。
今回は地元、熊本県から近い北九州での開催だった。井上は「東京のほうが、全国大会という感じがするから今回も東京での開催がよかった」と苦笑い。けれども、両親から「その代り、近いからおばあちゃんが初めて応援に来てくれたじゃない」と促されると、「そうだね、おばあちゃんが応援に来てくれたから北九州で行われてよかった」と満面の笑みを見せた。
来年は全国チャンピオンの肩書をもって地元の中学に進学する。「もちろん中学生になってもレスリングは続けます。中学生になったら、またレスリングのレベルがあがるので、そこでも勝てるように頑張っていきたいです」とさらなる飛躍を誓った。